高橋宗正は「写真と他者の認識」の構造に着目して写真作品を制作する写真家として活動するほか、コマーシャルの分野でも活躍しています。
本作は、『BIRDS ON THE HEADS』と『Bodies in the Dark』の対称的な2冊の写真集で構成されます。
白い写真のみを収録した『BIRDS ON THE HEADS』は、パリの大理石像の頭上に留まった鳥をイメージの中心に据えたシリーズです。2011年東日本大震災の後、ガイガーカウンターを持ちパリへ向かった高橋は、大理石の像が天然の放射性物質を含むために、パリ市内でも東京都内と同程度の数値が出ることを発見し、その周辺で石像の上の鳥を撮影したといいます。
一方の黒い写真で構成される『Bodies in the Dark』ではプラネタリウムの照射光で、暗闇の中から女性の身体を浮かび上がらせています。無数の光の粒によって身体の曲線が立体的に強調されています。
具体的な風景の中に特別な意味を見出そうと思考をふくらませ、不明瞭なイメージの中にかたちや輪郭を見つけようと目を凝らしてしまう鑑賞者の癖が引き出されるような2冊となっています。
高橋が「自分の目でものを見る、ということはいったいどういうことなのだろうか」と語るように、本作は「見る」ことについての実験的な写真集と言えるかもしれません。
テキスト付き
限定777部
33ページ
19x15cm
作家サイン入り
出版:VERO