「光はいつも明らかで、事物と混じりあうことでその姿を現す。レンズはその様を捉え、再現する。目の前に何かが存在するという美しさ、その驚きを素直に表現するのに写真ほど適した方法はない。だから私は写真を撮ると決めた。」

森下はただ存在するものを純粋に写真に撮りたいと願いながら制作を続けました。たとえ純粋な写真という定義が矛盾を含むものであっても、被写体とアイデアを共有することで、意味や概念の可能性を押し広げ、世界を記述することはできるのです。
「一枚の写真がその中に孕む様々な力は、決して単一の方向を指しはしない。光の美しさ、事物の存在感、人々のありよう、影の表情。その一つ一つが独自の、複層的なベクトルをもっている。
それらが行き交う場所で、私たちは呼吸をする。
そこは、私たちの心が泳ぐことのできる自由な空間である。」
そして彼は、そのようにして生み出された作品が織りなす、新しい空間の豊さをこの本で表現できたと自負しています。
「重力の様式（2005）」から「asterisk（2017）」までの十年以上に渡る取材の成果が結実しているのですから、処女作に作家の真髄が詰まっているとの言は、この森下の一冊目の写真集にも言えることでしょう。

著者: 森下大輔
編集: 湊雅博
デザイン: 得能正一
言語: 日本語/英語
サイズ: 226×283mm
ページ数: 144
掲載作品数: モノクロ82点
製本: 上製本
刊行：2017年10月
初版: 500部

出版：asterisk books