モノクロームの光と影がその存在感を浮き彫りにするという表現方法で撮り続ける杉山の視点は、やがて裸婦に向けられていきました。それは草花を這う幼虫であるかのように静かにそこに存在していて、杉山は、生まれたままの姿である裸婦に生きていることのリアリティーを見出し、写真にしています。これらの一連の作品は、ありふれたものや日常の風景と同様に一定の距離感を保ちながら捉えられていますが、「もの」のリアリティーや「生命」のリアリティーをより一層浮き彫りにし、殻を脱ぎ捨てて、変わっていく姿を象徴しています。作者自身の心象やこれからの生き方とも深く結びついていますが、あくまで日常生活のなかで写真と向き合うという作者の姿勢に変わりはありません。
100部限定
クロス製本
オリジナルプリント付き Image A(各34枚のうちの1枚)
作者サイン入り
出版:AAT